夜の子ども 4





 翌日、約束どおり公園に出向くと、よっちゃんたちはいなかった。いつものベ
ンチに座り、ぼんやりしていると、やがて三人して姿を現した。何をするのかと
思えば、やっぱりかくれんぼや鬼ごっこだった。汗だくになって走り回って、へと
へとになった頃、空はタイミングを見計らったように暮れていった。途中まで一
緒に帰り、かぶき町の入口あたりで解散した。帰ると、すでにご飯は出来てい
て、献立は具のほとんど入っていない焼飯だった。そういえば本日の当番は銀
髪だった。この間の焼飯は卵が入っていたけど、今回のものはそれすらない。
醤油の香ばしさで色々と誤魔化されている感じの味だ。
「文句言うなら食うなよ」
 銀髪が見せ付けるようにがつがつと食べる。
「私、何にも言ってないアル」
 私も対抗して勢いよく食べてやった。
 眼鏡は銀髪と私を交互に見てから、苦い顔をしていた。嫌な感じはしなかっ
た。それがすごく不思議だ。
 夜は押入れに引っ込むとすぐに眠気が訪れた。
 夜兎族は本来は夜行性だ。太陽に弱いから日中はあまり外に出たくない。ヤ
クザのもとで働いていた時も、活動は主に夜だった。ヤクザも夜行性なんだろ
う。そういう意味では気が合った。
 銀髪は自分は夜遅くまで起きているくせに、私には早く寝ろと強要する。反発
すると、腰に手を宛てて「子どもは早く寝るもんです」と言う。ずっと夜型の生活
をしていたので万事屋初日の夜はなかなか寝付けなかった。翌日、公園でぼ
んやりしていたのは、寝不足のせいもあった。だけど今夜は違った。眠い。よっ
ちゃんたちと遊んだせいだ。それにお腹もいっぱいですごく眠い。大きな欠伸
が出た。
 かすかにテレビの音がする。きっと銀髪が見ているのだ。人には寝ろって言
うくせにずるい。そう思うのに、瞼は重くてたまらない。








20081116
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